このページでわかること
- 国の考え方: 文部科学省の通知(平成25年)は、保護者の転勤以外の事情で海外の高校へ進んだ帰国生徒にも、編入学の出願資格を得られるよう配慮することを求めています。
- 県の書き方: 愛知県・東京都・神奈川県・埼玉県・兵庫県・大阪府・千葉県・宮城県の8都府県は、帰国生徒の編入学を専用の記述で案内しています。出願資格の細かさと、学校ごとに任せる範囲が違います。
- 最初の一手: 出願できる学年は外国の学校で修了した課程や単位で決まるため、志願したい高校か県の窓口への事前相談が先です。
海外から帰国した高校生が公立高校へ入り直す手続きは、学校教育法施行規則では「編入学」にあたります。ここでは、文部科学省の通知と、帰国生徒の編入学を専用の記述で案内している8都府県の公式ページを並べます。8都府県以外の県に制度がないという意味ではありません。県ごとの公開の形は都道府県別の公開状況にあります。言葉の意味は用語集で確かめられます。
国の通知が県に求めていること
文部科学省の通知(平成25年5月20日 25文科初第243号)は、各都道府県教育委員会などに、次の点を実情に応じて可能な限り配慮するよう求めています。
- 出願資格: 保護者の転勤以外の事情で海外の高校へ進学した後に帰国した場合も、保護者の転勤に伴う場合と同様に、編入学の出願資格を得られるよう配慮する。
- 試験の回数: 外国は学年の始期・終期が日本と異なることが多いため、各学年を通じて可能な限り多くすることが望ましい。
- 受験手続: 海外から手続することが多いため、提出書類は必要最小限にし、願書提出期限にも特段の配慮をすることが望ましい。
- 情報の提供: 公立は都道府県教育委員会、私立は都道府県知事が、募集時期・定員・試験時期・科目・必要書類を把握し、ホームページなどで広報する。情報は可能な限り一箇所に集めることが望ましい。
8都府県の帰国生徒の編入学の公表(2026-10-09確認)
| 県 | 出願資格の書き方 | 時期・回数 | 試験・手続 |
|---|---|---|---|
| 愛知県 | 6項目。相当年齢で同等以上の学力、日本の中学校の卒業か外国の正規の教育機関の9年目以上の修了、原則1年以上の海外在住と在住中の就学、帰国後1年以内、保護者か身元引受人と県内に在住。 | 各学年で4月1日から翌年1月8日まで。 | 志願先の学校で随時実施。科目は学校が決める。一度に出願できるのは1校。出願前に志願先の高校へ相談し、日が決まったら書類を持って高等学校教育課へ行き、編入学出願届受理証明書を受ける。 |
| 東京都 | 出願の可否と学年は、年齢、外国の学校で修了した課程、これまでの修得単位数で決まる。外国の学校の単位は認められる数が少なく、出願や希望学年の受検ができない場合があるため、事前の相談・確認を求めている。 | 海外帰国生徒対象の第二学期募集は、発表が5月下旬、願書受付と検査が7月上旬。 | 科目は各校が定め、原則として国語・数学・英語と面接。保護者が帰国できない場合は勤務証明書など、本人のみ帰国の場合は身元引受人承諾書が書類にある。 |
| 神奈川県 | この表で見た県のページには、資格の細目は書かれていない。選抜の種類として「編入学(海外帰国)」を置いている。 | 4月1日・4月11日・当初、9月1日、10月1日(通信制)、1月1日の期日がある。 | 問い合わせは転編入学情報センター。回ごとの実施校等は県のページに過去1年分がまとまっている。 |
| 埼玉県 | 全日制は本人と保護者の県内居住(予定を含む)、定時制は本人の県内の住所か勤務地が条件。出願できる学年は、年齢と外国の学校で何年の課程を修了したかなどで決まる。 | このページには帰国生徒向けの時期の記述は見つからなかった。 | 各高校の募集状況や日程は、県の公立高校ナビゲーションシステムに載る。問い合わせは県立学校人事課。 |
| 兵庫県 | 海外から帰国し、県内に保護者とともに居住か居住予定の人が、編入学考査の受験を認める場合の1つ。 | 各学年の学期末に実施することを原則とし、学期途中でも状況により実施。 | 通学区域の中から志願校を1校選ぶ。複数校を受験して合格校から選ぶことはできない。日程や教科は各校が決めるので、希望の学校へ確認する。 |
| 大阪府 | 府立高校の取扱要領は、編入学を許可される人の1つとして、外国で中学校に相当する課程を修了して高校に相当する課程には在学していない人で、当該年度の入学者選抜に出願できなかった人を挙げる。保護者の海外勤務等に伴い、原則として外国に1年以上継続して在住し、帰国後1年以内の人とする。外国の高校に相当する学校に在学した人も別の号にある。いずれも同等以上の学力が必要で、校長はあらかじめ教育委員会と協議する。 | 原則として学期の初め(最終学年は第三学期を除く)。 | この要領には試験科目や書類は書かれていない。 |
| 千葉県 | 編入学試験の対象者を「海外帰国生徒や中途退学者など」と書く(中途退学者は定時制のみ)。資格の細目は、この発表資料には書かれていない。 | 令和8年度は第1学期末と第2学期始めの実施予定を発表。実施校ごとに募集締切日・試験日・合格発表日の表がある。 | 表に試験教科・科目と面接の有無、面接対象者が学校別に載る。全日制118校、定時制16校、県立中学校1校が実施。 |
| 宮城県 | 編入学を「海外から帰国した者」などが1年生の当初の入学時期以外か2年生以上に入ることと定義する。資格の細目は書かれておらず、志願先の高校へ受験資格を問い合わせるよう求めている。 | この手引には、帰国生徒向けの時期の記述は見つからなかった。 | 手続は転入学に準じる。海外の高校からの編入学は、志願先に連絡する前に県高校教育課(仙台市立は仙台市、石巻市立は石巻市)へ相談するよう求めている。複数校に出願した場合は最初に合格した高校へ入る。 |
表から読み取れる違い
- 数字で資格を書く県と、書かない県。愛知県と大阪府は海外在住1年以上・帰国後1年以内を明記しています。東京都・埼玉県は、期間の数字ではなく、外国で修了した課程や単位で出願できる学年が決まると書いています。
- 単位の扱い。東京都は、外国の学校の単位が認められる数が少ないことを明記し、事前の相談を求めています。単位の引き継ぎの一般的な考え方は転入学の手続きの順番の比較や必要書類の整理にあります。
- 複数校への出願。愛知県と兵庫県は1校に絞る書き方です。宮城県は、複数校に出願しても最初に合格した高校へ入ると書いています。東京都は、最初に合格した高校へ入る(その日以降の受検を辞退する)ことを条件に、複数校へ出願できると書いています。
- 時期。愛知県は期間、東京都は帰国生徒向けの募集の月を示します。兵庫県は学期末、大阪府は学期の初めが原則で、千葉県は学期ごとの実施予定を発表しています。埼玉県と宮城県の資料は時期を書いていません。
出願の前に確かめること
- 志願したい高校、または県の窓口(東京都は都立高校入試相談コーナー、神奈川県は転編入学情報センター、埼玉県は県立学校人事課、愛知県は高等学校教育課、宮城県は県高校教育課)に、出願できる学年を相談する。
- 外国の学校の成績・単位修得証明書、在住期間を示す書類、保護者が帰国できない場合の書類など、県が求める書類を確かめる。
- 募集の時期と、複数校へ出願できるかを確かめる。
このページの範囲。文部科学省の通知と、8都府県の公式ページに書かれていることの整理です。この8都府県以外の県は、このページでは調べていません。個別の事情で編入学できるか、何年生に入れるかは判断しません。各県の記述は更新されるため、出願の前に県の公式ページと志願先の高校で最新の内容を確かめてください。
よくある質問
保護者の転勤以外の理由で海外の高校へ行った場合も、編入学に出願できますか
文部科学省の通知は、保護者の転勤以外の事情で海外の高校へ進学した後に帰国した場合も、転勤に伴う場合と同様に、編入学の出願資格を得られるよう配慮することを求めています。ただし通知は国から県への依頼で、各県の取扱いを同じにするものではありません。自分の県の扱いは、県の公式ページか志願先の高校で確かめてください。
何年生に入れるかは、どうやって決まりますか
東京都と埼玉県のページは、年齢と、外国の学校で修了した課程や単位で、出願できる学年が決まると書いています。東京都は、外国の学校の単位は認められる数が少なく、出願や希望学年の受検ができない場合があるため、事前の相談・確認を求めています。このサイトでは、個別の事情で何年生に入れるかは判断しません。
複数の高校に出願できますか
県で違います。愛知県は、一度に出願できるのは1校です。兵庫県は、通学区域の中から志願校を1校選び、複数校を受験して合格校から選ぶことはできません。東京都は、最初に合格した高校へ入る(その日以降の受検を辞退する)ことを条件に、複数校へ出願できると書いています。
表にない県では、帰国生徒の編入学はできないのですか
そうとは言えません。このページで調べたのは、帰国生徒の編入学を専用の記述で案内している8都府県だけです。ほかの県に制度がないという意味ではなく、このページでは調べていません。県ごとの公開の形は都道府県別の公開状況で見られます。
次に確認すること
- 期限: 転入学・編入学の受付時期を県別に見る
- お金: 就学支援金など学費の支援の仕組み
- 手続き: 転入学の手続きの順番を9道県で比べる
- 続けるか: 休学・退学の違いと、退学後に戻る道
- 県別一覧: 都道府県別の転入学・編入学の公表状況一覧(47都道府県)